ぽんぽこ伝説とは何か
ここのブログタイトルは「ぽんぽこ伝説」である。
では、ぽんぽこ伝説とは何か?
おそらく、タヌキの伝説か何かであろう。
おそらく、というのは、別にタヌキ伝説について書こうとこのブログを開設したわけではなくテキトーに命名したからである。
とりあえず、気になったこととか雑記的にブログに書いてみようと思って始めたので、名前は特に何でもよかった。「なんでもブログ」とか「いろいろブログ」とかそんなのでもよかったのだ。
しかし、勢いでテキトーに命名したら気付いたら「ぽんぽこ伝説」だった。
もしかしたらこれは聖なる御タヌキ様の思し召しかもしれない。
そうであれば、御タヌキ様に関する記事を書かねばなるまい。
そんなわけで今回は千葉県木更津市の證誠寺のタヌキ伝説についてご紹介しよう。
証城寺の狸囃子
證誠寺は千葉県木更津市で唯一の浄土真宗本願寺派の寺院である。童謡「証城寺の狸囃子」の歌詞に出てくる「しょしょしょうじょうじ〜」として全国的に知られる。知らないという可哀想な人は下のリンクから聴いてみなさい。
この歌は野口雨情作詞、中山晋平作曲で1925年に発表されたもので、平井英子の歌ったレコードでヒットした。また、戦後はアメリカ人歌手アーサー・キットによってカバーされたり、アメリカの子供番組で紹介されたりと国際的にも知られていた。
さてこの歌の元となったのは證誠寺に伝わるタヌキ伝説である。證誠寺のタヌキ伝説は群馬県館林市の「文福茶釜」や愛媛県松山市の「八百八狸」と並んで日本三大タヌキ話の一つに数えられる。證誠寺のタヌキ伝説の概要はおよそ童謡「証城寺の狸囃子」に歌われている。まずは、歌詞を確認していただきたい。歌詞を覚えている人も、律儀に上の動画で確認した人も念のため歌詞を読んでおこう。
證 證 證城寺
證城寺の庭は
ツ ツ 月夜だ
皆(みんな)出て 來い來い來い
己等(おいら)の友達ァ
ぽんぽこ ぽんの ぽん
負けるな 負けるな
和尚さんに 負けるな
來い 來い 來い
來い 來い 來い
皆出て 來い來い來い
證 證 證城寺
證城寺の萩は
ツ ツ 月夜に 花盛り
己等は浮かれて
ぽんぽこ ぽんの ぽん
物語の概要を把握できただろうか。詳細まで把握できた人はすでに伝説を知っている木更津市民か、タヌキである。おそらく多くの人は月夜にタヌキが楽しそうに遊んでいる、のどかな様子をなんとなく思い描いただけだろう。確かに1番と3番はそんな感じのことを歌っている。しかしその間の2番では突然人間である和尚が登場し、「負けるな、負けるな」と何かしらのバトルが発生している。これはどういうことか。実はこのバトルこそ、このタヌキ伝説の要である。
タヌキ伝説
ある秋の月夜、證誠寺の和尚さんは、外から何やら騒がしい音がして目を覚ました。庭の方を見ると、大勢のタヌキがお囃子をしながら踊っていた。そう、ムーンライトタヌキロックフェスin證誠寺が開催されていたのである。和尚さんは庭から聴こえてくるグルーヴに衝動を抑えられず、三味線を持ち出して弾き始めた。タヌキたちは突然参戦してきた和尚さんの超絶三味線テクに驚愕した。そして、負けじとさらに演奏や踊りを激しくした。特に、1匹の大タヌキが繰り出す腹太鼓のビートが演奏をより盛り上げた。突然起こったタヌキと和尚さんのジャムセッションは朝まで続いた。そして、翌日の晩も翌々日の晩も、この愛と平和と音楽の祭典が開催された。
しかし4日目の晩、和尚さんが待っていてもタヌキたちは現れなかった。明け方になるまで和尚さんは待っていたが、結局タヌキたちは現れなかった。和尚さんは不思議に思い、周辺を見回った。すると、あの天才腹太鼓ドラマーである大タヌキが腹を破って死んでいた。和尚さんは魂の演奏をぶつけ合った友を弔い、境内に塚を築いた。それが今も残る狸塚である。
タヌキ伝説と木更津市
この伝説は木更津市民に広く親しまれており、町中のいたるところでタヌキの
モチーフを見ることができる。
下写真はJR木更津駅であるが、お分かりだろうか、時計の下にタヌキが2匹いることを。
そして、駅前ロータリーでは可愛らしいタヌキが逆立ちでお出迎え。
地面に目をやれば、童謡「証城寺の狸囃子」のマンホールが。
そんな木更津市のご当地ゆるキャラは、きさポンである。観光案内図を見ればかわいらしいきさポンが木更津市の魅力を紹介してくれる。證誠寺に行く際はこの地図を参照しよう。
自販機にもきさポンである。うみほたるときさポン、ついつい飲み物を買いたくなってしまう魅惑のデザインである。
永遠なるぽんぽこ
このブログタイトルにもある「ぽんぽこ」という擬音、そこから連想する動物は何かと聞かれたら多くの人はタヌキと答えるだろう。この「ぽんぽこ」という音の背景にはタヌキと人間との熱い魂の交流があった。音楽には国境がないと言われるが、国境だけでなく生物種の垣根をも超えることができることをこの伝説は伝えているのである。
今後日常生活で「ぽんぽこ」という音を耳にした際にはこのことをぜひ思い出していただきたい。
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