世界遺産 富岡製糸場への行き方

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群馬県の歴史ある私鉄「上信電鉄」

 群馬県の高崎駅は高崎線や上越線などの在来線や上越・北陸新幹線が通っているJR東日本の主要な駅の一つです。また、高崎駅はJR線だけでなく私鉄の上信電鉄上信線の起点でもあります。

 上信電鉄は高崎〜下仁田間を結ぶ上信線と高崎市内のバス路線を運営する会社です。その設立は1895年と古く、1897年には上野(こうずけ)鉄道として現在の高崎〜下仁田間の鉄道路線が開業しました。当時、上野鉄道は物資の運搬を行い、沿線の産業の発展に寄与しました。

 沿線の産業施設として現在もその名が知られているのが富岡製糸場です。日本史の教科書にも載っていますが、それだけでなく2014年には世界遺産に登録され国際的に認知されることとなりました。

 上信電鉄の改札へ向かうとさっそく富岡製糸場の案内が見えます。富岡製糸場の最寄り駅は上州富岡駅で、高崎から上州富岡までは片道大人810円です。今のところICカードは非対応なので、必ず切符を買う必要があります。もし上州富岡以外もいろいろ沿線を巡って乗り降りする場合は2260円の「1日全線フリー乗車券」がお得です。フリー乗車券はしっかりとした硬券なので使用後も記念品になります。

 改札に入って進むと車止め近くに「富岡しるくちゃん」が立っています。富岡しるくちゃんは、全国の鉄道をモチーフにしたキャラクターコンテンツ「鉄道むすめ」の上信電鉄のキャラクターです。富岡製糸場の「富岡」と絹=「シルク」が元になっている素敵な名前です。

 ちなみに富岡しるくちゃんが手に持っている黒いダルマは「上デキだるま」です。上信電鉄が大正時代に導入した電気機関車デキ1型と高崎名物のダルマを組み合わせたグッズです。駅窓口で980円で売ってます。他にもいろいろグッズがあるのでぜひ見てみてください。

 「鉄道むすめ」シリーズは全国展開しており、全国各地の鉄道駅でそれぞれのご当地キャラを目にすることができます。その鉄道の沿線地域にちなんだデザインや名前をしているのでなかなか興味深いです。

 

上信電鉄高崎駅

 上信電鉄上信線の高崎駅は起点・終点のため頭端式構造ホームで、到着した列車は折り返し下仁田方向へ向かって発車します。改札側から見て右側が乗車、左側が降車用ホームとなっています。

 乗車用ホームには普通のベンチはもちろんですが、ホーム先頭まで進むと「電車型待合室」の案内表示が見えます。

 これが電車型待合室「絲綢之間(しるくのま)」です。電車型というか、電車です。かつて使用していた車両を留置して待合所として再利用しています。ドアは自動では開かないので手動で開けます。ドア横には「ぐんまちゃん」とぐんまちゃんの2014年ゆるきゃらグランプリ優勝を称える表示があります。

 ちなみに、このぐんまちゃんは実は2代目ぐんまちゃんで、初代はもっと馬っぽい姿で、あかぎ国体のイメージキャラクターとしてデザインされました。当代ぐんまちゃんも、ゆうあいピックというスポーツイベントのキャラクターで元々はゆうまちゃんという名前でした。

 さて電車型待合室「絲綢之間」の車内はこんな感じです。半分はクロスシート、半分はロングシートとテーブルになっています。次の電車が到着するまでまだ時間がありそうなときはここで休憩しているのもいいかもしれません。

富岡製糸場の最寄駅、上州富岡へ

 現役の電車が到着しました。これは250形と呼ばれる車両で、上信電鉄オリジナルの車両です。このほかにも上信電鉄独自の車両がありますが、それだけでなくJRや西武で活躍していた車両も使われています。また、広告塗装をまとった車両もあり、様々な種類の見た目の車両が目を楽しませてくれます。

 250形の車内はこんな感じで、昔懐かしい雰囲気があります。

 上州富岡駅につきました。駅構内の行先の看板がレトロでおしゃれです。

 反対側には群馬サファリパーク仕様の車両が止まっていました。車体全体にシマウマの模様があしらわれています。また所々にいろいろな動物が描かれていて可愛らしいデザインです。

 駅を降りると「お富ちゃん」がいます。お富ちゃんは富岡市のPRキャラクターで、富岡製糸場で当時働いていた女工さんの格好をモチーフにしたデザインです。公式プロフィールによれば、平成24年の富岡製糸場創業140周年を記念して誕生し、年齢は永遠の14歳とのこと。

 駅前には広々とした空間が広がっています。駅から富岡製糸場までは徒歩15分程度ですが、駅横の駐輪場にはレンタルサイクルがあり無料で利用することができます。利用にあたっては駅員さんに申し出てください。また、タイミングが合えば巡回バスも運行しています。

世界遺産富岡製糸場

 富岡製糸場の入り口です。レンタル自転車は駐輪場があるのでそこに止めましょう。入場料は大人が1000円、高校生・大学生が学生証提示で250円、小中学生が150円です。

 また、オプションでプラス200円でガイドツアーに参加することができます。ただ館内を見るだけでも雰囲気は十分に楽しめますが、ガイドツアーで説明を聞くことでそれぞれの建物や設備がどう使用されていたのか、富岡製糸場がどんな歴史を辿ったのか学ぶことができ、より充実した時間を過ごすことができます。

 繭から糸を紡ぎ出す繰糸場では近代的な機械が設置されていました。これは創業当時のものではなく、のちの時代に導入された自動繰糸機です。富岡製糸場というと創業時の明治時代のものというイメージが強いですが、1987年まで操業していました。操業停止後も建物や設備が大切に保存されており、その後の世界遺産登録を経て現在に至ります。

 行ったときは、国宝に指定されている西置繭所という建物が修復工事中で、その様子を周りの足場から見ることができました。現在は修復工事が完了し西置繭所内に入ることができるそうです。

 20世紀において工業国としての地位を築き上げた日本ですが、その先駆けとなったのがこの富岡製糸場でした。100年以上前に出来た工場ですが、館内を見てガイドさんの説明を聞くと、現代においても通用する生産性向上への取り組み、工夫があることが学べました。

 群馬県にお越しの際はぜひ上信電鉄で富岡製糸場まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

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