日本唯一の浮上式リニア営業路線 リニモ

ぽんぽこツアーズ

「リニア」とは

 「リニア」といったら何を思い浮かべるでしょうか。まず思い浮かぶのは現在建設中のリニア中央新幹線のことでしょうか。実は都営大江戸線や大阪メトロ鶴見緑地線、仙台市営地下鉄東西線などもリニア方式の地下鉄です。正確にはこれらは鉄輪式リニアと呼ばれる方式で、リニアの動力でレールの上を走るというものです。一般的な電車は車体下にモーターを搭載して、そのモーターを動かすことで動きますが、リニアでは車体下と線路側に設置された板でモーターの機能を果たします。そのため、車体側に大きなモーターを搭載する必要がなく、車体をコンパクトにすることができます。そのことは、地下鉄建設においてはトンネルの大きさを小さくすることができ、建設費の節約につながるため1990年代以降に新設された全国の地下鉄に取り入れられました。

しかし、これらの鉄輪式リニアは「リニア」だと言われてもいまいちピンとこないかもしれません。たしかに見た目上はレールの上を車輪で走っているので従来の電車と大きな違いはありません。対して、計画中のリニア中央新幹線は浮上式リニアモーターカーです。やはり「リニア」といえばリニア新幹線のように浮上して走行するイメージがあります。リニア中央新幹線の開業は2027年を予定していますが工事の難航によっては延期になる可能性があります。山梨県の実験線ではリニアに試乗することができますが、抽選なので乗れるか乗れないかは運次第です。

 そんな浮上式リニアですが、実はすでに営業運転している路線が日本で唯一存在しているのです。

リニモへのアクセス

 日本唯一の浮上式リニア営業路線へは名古屋市営地下鉄東山線の終点、藤が丘駅で乗り換えることができます。名古屋駅からは30分ほどで着きます。

 駅を降りて外に出ると「リニモ」の藤が丘駅の入り口があります。駅は地下へと続いています。

 「リニモ(Linimo)」は正式名を東部丘陵線といいます。運営は愛知高速交通が行っています。東部丘陵線は名古屋市の藤が丘駅から豊田市の八草駅までを結ぶ9駅、8.9kmの路線で、2005年の愛知万博(愛・地球博)に合わせて開業しました。

 万博開催時は会場へのアクセス手段として利用されましたが、それまで鉄道路線の通っていなかった長久手市の新たな交通手段として万博閉会後もその大きな役割を果たしています。

リニモの全駅は安全対策として全面張りのホームゲートが設置されています。

ついに実現したHSSTの営業路線「リニモ」

リニモは3両編成で運行されています。車体は四角いデザインです。

 リニモはHSST(High Speed Surface Transport)と呼ばれる方式の鉄道で1970年代から研究開発が進められていました。そのきっかけとなったのが成田空港の建設で、都心から60km以上離れた成田へのアクセスとして日本航空を中心に空港アクセスの交通システムが研究されていました。その際注目されたのが、当時西ドイツで開発が進められていた磁気浮上式鉄道でした。

 最初のHSSTは1975年に無人実験車両として制作されロケットエンジンとの併用で1978年に最高速度307.8km/hを記録しています。見た目も航空機に近い形をしていました。その後、旅客輸送に向けて開発された歴代車両は筑波万博ほか博覧会で展示走行され、横浜博覧会では期間中に515mの距離ながらも初の営業運行がされていました。そして、本格営業に向けた大江実験線での試験を経て2005年のリニモ開業へと至ります。

リニモ(愛知高速交通東部丘陵線)Linimo(Aichi Kōsoku Kōtsū Tōbu Kyūryō-sen) 2019/1/14
前面の右側にある箱が緊急時に運転台になります

 リニモは法律上は軌道路線として区分されており、路面電車や「ゆりかもめ」などの新交通システムと同じカテゴリーに属します。たしかに、全面ホームゲートで仕切られたプラットホームや、運転手のいない無人運転での運行は「ゆりかもめ」に雰囲気がよく似ています。

 しかし乗車して、発車してみると、その乗り心地は一般な鉄道やモノレール、その他新交通システムとは全く違った感覚がします。浮上して走行しているため、車輪の振動がなくスムーズに進んでいることが乗っていて分かります。

 先ほども触れた通り、リニモは原則運転手は乗っておらず、無人自動運転によって運行しています。ただし運転台はついていて、緊急時は有人運転も可能な設計となっています。車両前面は大きなガラスで覆われており、先頭・最後部の席に座れれば走行中の景色をより楽しむことができます。

 

愛・地球博記念公園(モリコロパーク)

 リニモは名都美術館やトヨタ博物館、愛知県陶磁資料館などの文化施設へのアクセスの利便性を向上させました。また杁ヶ池公園や古戦場公園などの公園施設も多くあります。その中でも、愛知万博の開催地だった愛・地球博記念公園、通称モリコロパークは広大な面積を誇ります。

 愛・地球博記念公園の最寄り駅はリニモの愛・地球博記念公園駅です。愛知県立大学にも近いため愛知県立大学前の名称も併記されています。万博会期中は「万博会場駅」という名称でしたが、万博終了の翌年の2006年4月1日より現駅名へ改称されました。

 「モリコロパーク」の名前の由来となっている博覧会のキャラクター、モリゾー(右)とキッコロ(左)です。ふたりは森の精なので、他のどの材質よりも植物で形成されたこの姿が一番合っているかもしれません。 

 愛・地球博記念公園内は万博開催時のパビリオンこそ撤去されてはいますが、いくつかの施設は公園の施設として引き継がれているため万博の雰囲気を今でも感じることができます。

 駅を降りてすぐに見えてくる大きな丸い建物は「地球市民交流センター」です。体験学習施設・多目的室・多目的スタジオを備える施設で市民参加・交流活動の拠点として設立されました。園内には無料巡回バスが走っており、この「地球市民交流センター」のバス停は駅から最寄りのバス停です。バスはそれぞれの施設に停留所があるので、この広大な敷地の移動には大変便利です。また、サイクリングコースもあるのでサイクリングを楽しみながら移動するのもいいです。自転車を持ってきていなくてもレンタルできるので気楽にサイクリングができます。

 実はこの愛・地球博記念公園内にジブリパークが開園する計画が進められています。もともと万博開催時から展示されていた、「となりのトトロ」をテーマにした「サツキとメイの家」が公園内にも引き続き公開されていましたが、計画では「となりのトトロ」意外にも「魔女の宅急便」や「耳をすませば」、「千と千尋の神隠し」など数々のジブリ作品の世界観を楽しめる施設が作られるとのことで2022年の開業を予定しています。

愛知環状鉄道2000系電車 JR東海313系と同じ規格の車両です。

 さて、リニモは愛・地球博記念公園駅を出た後は、陶磁資料館南駅を経て終点の八草駅に着きます。八草駅では愛知環状鉄道に乗り換えることができます。愛知環状鉄道は岡崎から高蔵寺までを結ぶ第3セクターの路線で、「環状鉄道」の名を冠していますが山手線や大阪環状線のような環状運転はしていません。もともとは環状運転を計画していたためその名が残っています。

 環状運転こそしていませんが、岡崎では東海道線、高蔵寺では中央線と2つ主要な路線をつなぐ重要な役割を果たしています。また名鉄線にも連絡している駅があるので、リニモでのお出かけの際に併せて利用すると便利です。

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